司法書士試験 令和4年〔第22問〕
Aを被相続人、Aの夫であるB及びAの弟であるCを推定相続人とする相続に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア BがAに対する傷害致死罪により有罪判決を受け、この判決が確定した場合には、Bは、相続人となることができない。
イ Bが相続に関するAの遺言書を破棄した場合であっても、それが相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、Bは、相続人となることができる。
ウ CがAに重大な侮辱を加えたときは、Aは、Cの廃除を家庭裁判所に請求することができる。
エ Aの生前において、Bの廃除の審判が確定した場合であっても、Aは、いつでも、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
オ Aの遺言によるBの廃除の審判が確定したときは、Bの廃除は、Aの死亡の時にさかのぼって効力を生ずる。
1 アウ 2 アオ 3 イエ 4 イオ 5 ウエ
ア × 間違いです。 第八九一条第1号は欠格者として「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」とあるので、故意の殺意が必要であるが、傷害致死では傷害に対する故意しかない。
イ ○ その通りです。同条第5号は、「 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」も欠格者としているが、判例は、「相続人が被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は本条五号所定の相続欠格者に当たらない。(最判平9・1・28)」とする。
ウ × 間違いです。第八九二条は、「遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。」とあるので、兄弟姉妹には遺留分はなく廃除請求できない。遺言で相続分を与えなければ足りる。
エ ○ その通りです。 第八九四条第1項は、「被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。」とする。
オ ○ その通りです。 第八九三条は、「被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。」とする。
●正解 1
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