「相続の承認及び放棄に関する事例」国家試験問題

司法試験 令和4年〔第35問〕

相続の承認及び放棄に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。


ア.相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産に属する土地を売却したときは、その相続人は、単純承認をしたものとみなされる。

イ.相続の放棄をしたAの子であるBが被相続人の直系卑属であるときは、Bは、Aを代襲して相続人となる。

ウ.相続人が数人あるときは、各相続人は、単独で限定承認をすることができる。

エ.限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。

オ.相続人が未成年者であるときは、相続の承認又は放棄をすべき期間は、その法定代理人が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から起算する。

1.アウ   2.アエ   3.イウ   4.イオ   5.エオ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ア ○ その通りです。 第九二一条1項1号「次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。」

イ × 間違いです。第九三九条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」よって、代襲もない。廃除とは違う。

ウ × 間違いです。第九二三条「相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。」

エ ○ その通りです。 第九二六条第1項「限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。」

オ ○ その通りです。 第九一七条「相続人が未成年者又は成年被後見人であるときは、第九百十五条第一項の期間は、その法定代理人が未成年者又は成年被後見人のために相続の開始があったことを知った時から起算する。」

●正解 3

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