相続（特に遺産分割）におけるエンバーミングの必要性

１．相続手続きの新潮流：エンバーミングとは？

近年、相続手続きにおいて「エンバーミング（embalming）」という言葉を耳にする機会が増えています。エンバーミングとは、遺体の腐敗防止措置のことで、特に海外在住の相続人がいる場合や、遺体安置に時間を要する場合に必要となる技術です。
日本では火葬が一般的であるため、エンバーミングの必要性は低いと考えられてきましたが、グローバル化に伴い、その需要は徐々に高まっています。

２．海外在住の相続人とエンバーミング

相続人が海外に居住している場合、葬儀までの期間が長くなることが予想されます。そのような状況下では、エンバーミングは遺体の状態を保ち、衛生的な観点からも非常に有効な手段となります。
相続おもいやり相談室でも、海外在住の相続人がいる遺産分割の案件において、エンバーミングの必要性を検討するケースが増えてきています。

３．エンバーミングの法的側面と現状

日本では、エンバーミングは遺体解剖保存法や刑法190条の遺体損壊罪との関連で議論されることがあります。しかし、厚生労働省の研究会や遺体衛生保全協会（IFSA）が自主的な基準を設けており、遺族の同意があればエンバーミングは可能です。
エンバーミングにより、遺体を約50日間保存することが可能とされていますが、その後は火葬または土葬を行う必要があります。費用は一般的に20万円前後で、搬送費用が別途かかる場合があります。

また、行政機関もエンバーミングの知識を共有する必要があるだろう。