相続に関連した主な私的・公的手続等の一覧

 ※最新法改正・取扱実務も確認して下さい。

(1)葬儀並びに祭祀財産の承継のための宗派,菩提寺,家紋の確認 

 先祖代々の家系を記した系図(系譜)や位牌・仏壇、墓地・墓石などを祭祀財産といいます。これらの承継者は一般財産とは別個に決定します。そこで、家紋、宗派、菩提寺(住所・電話番号)、仏壇(祭壇)の有無、墓地・墓石の確認が必要になります。   

(2)相続財産の確認(一覧表の作成) 

 ①国民年金・厚生年金・共済年金
  本人や配偶者の年金番号の確認
 ②保険会社
  契約していた全ての保険会社・郵便局簡易保険などを保険証券などで確認する。保険会社名・保険番号・電話番号・担当者名が重要です。
 ③不動産(建物・土地)
  物件の種類と物件の所在地、先代名義の不動産、共有名義の不動産がないかどうか。
 ④預貯金
  金融機関名、支店名、預金の種類、(口座番号) ゆうちょう銀行は時間がかかる
 ⑤借入金
  金融機関名、支店名、郵便局の場合の借り入れ口座番号・証書など確認、近時ではカードローン、ネット借り入れは要注意
 ⑥保証・連帯保証の有無
 ⑦有価証券
  株の保有の有無は重要、証券会社・信託銀行等の金融機関名、支店名
 ⑧クレジットカード
  カード会社名と借り入れ残高(ショッピングとキャッシング両方)

(3)国民年金の申請

 ①遺族基礎年金…妻と18歳未満の子供、18歳未満の子供(身体障害者は20歳未満)
 書類の提出先…市町村の国民年金課
 必要書類…印鑑、住民票の写し(世帯全員分)、戸籍謄本、死亡届記載事項証明書または死亡診断書の写し、年金手帳、所得証明書(年収を証明するもの…年収850万円未満)、振込先の口座番号
 期限…死亡した日から5年以内

 ②寡婦年金…18歳未満の子供がいない妻(ただし、夫の納付年数が25年未満の時は死亡一時金)
 書類の提出先…市町村の国民年金課
 必要書類…印鑑、住民票の写し(世帯全員分)、戸籍謄本、年金手帳、所得証明書(年収を証明するもの…年収850万円未満)、振込先の口座番号
期限…死亡した日から5年以内

 ③死亡一時金…遺族      
 書類の提出先…役所の国民年金課
 必要書類…印鑑、住民票の写し(世帯全員分)、戸籍謄本、年金手帳、振込先の口座番号
 期限…死亡した日から2年以内

(4)厚生・共済年金の申請

 ①遺族厚生年金・遺族共済年金…妻と18歳未満の子供、18歳未満の子供(身体障害者は20歳未満)、18歳未満の子供がいない妻(中高齢の寡婦加算が自動的にあり)、その他の遺族(夫・父母・祖父母は55歳以上、支給は60歳から) ※通常は4分の3である。      
 書類の提出先…故人の勤務先を管轄する社会保険事務所、共済組合の事務所の給付係
 必要書類…印鑑、住民票の写し(世帯全員分)、戸籍謄本、死亡届記載事項証明書または死亡診断書の写し、年金手帳、所得証明書(年収を証明するもの…年収850万円未満)、振込先の口座番号
 期限…死亡した日から5年以内

 ②遺族基礎年金…妻と18歳未満の子供、18歳未満の子供(身体障害者は20未満)
 書類の提出先…故人の勤務先を管轄する社会保険事務所、共済組合の事務所の給付係
 必要書類…印鑑、住民票の写し(世帯全員分)、戸籍謄本、死亡届記載事項証明書または死亡診断書の写し、年金手帳、所得証明書(年収を証明するもの…年収850万円未満)、振込先の口座番号
 期限…死亡した日から5年以内         

(5)葬祭・埋葬費の申請

  ①国民健康保険「葬祭費」
 書類の提出先…亡くなった人の所在地にある役所
 必要書類…印鑑、保険証、死亡の証明書類
 期限…葬儀を行ってから2年以内

  ②健康保険「家族埋葬費」     
  書類の提出先…故人の勤務先を管轄する社会保険事務所、健康保険組合
  必要書類…印鑑、死亡診断書、保険証、事業主の証明
  期限…葬儀を行ってから2年以内    

  ③労災保険「葬祭料請求」
  書類の提出先…故人の勤務先を管轄する労働基準監督署
  必要書類…印鑑、戸籍謄本(除籍の記載のあるもの)、死亡診断書
  期限…葬儀を行ってから2年以内       

(6)高額療養費支給の申請  

 ①申請条件…「同一医療機関で同じ月に支払った保険診療による医療費が一人につき6万3600円を超える場合」又は「同一世帯で3万円以上負担したものが2人以上いる場合」にその超過分のみが払い戻される。ただし、保険診療外料金は全て除外される。

 ②書類の提出先…社会保険は社会保険事務所・健康保険組合、国民保険は亡くなった人の所在地にある市区役所・町村役場
 必要書類…印鑑、申請人の戸籍謄本、除籍謄本(相続人が分かる範囲)、保険証、医療機関の領収証、振込先の口座番号
 期限…保険での診療費の支払い時から2年以内

(7)医療費控除による税金の還付手続

①趣旨…本人とその扶養家族が支払った医療費の金額の合計額が、その年分の課税標準額の5パーセント相当額(最高は10万円)を超える場合に控除の対象となり確定申告時に申請します。ただし、保険金又は損害賠償金などで補填される金額は除外されます。また、相続人が還付を受ける場合は、死亡の日までに支払った医療費の合計額を基礎とします。

 ②書類の提出先…税務署 必要書類…印鑑、その年の源泉徴収票、支出を証明する領収書
 期限…更正の請求を行う場合は申告時より1年以内

(8)生命保険・損害保険の名義変更

 ①被相続人が契約者(保険料支払い者)・受取人の場合
 ②書類の提出先…生命保険会社、損害保険会社
 必要書類…印鑑、相続人の印鑑証明書、相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、保険証券
 期限…速やかに

(9)死亡保険金の請求

  ①保険会社への連絡…死亡原因、証券番号、被保険者の氏名、加入年月日と死亡日
  ②書類の提出先…生命保険会社
 必要書類…印鑑、相続人(受取人)の印鑑証明書、相続人(受取人)の戸籍謄本、被相続人(被保険者)の除籍謄本、死亡診断書・事故報告書、保険証券、最終の保険料領収書、保険会社所定の診断書、入院手術証明書、事故報告書、その他保険会社所定の必要書類と請求書
 期限…3年以内

(10)不動産の所有権移転登記

①遺産分割協議書等が出来次第に法務局に直接か司法書士等に依頼(委任状必要)
②書類の提出先…法務局 必要書類…印鑑、相続人全員の印鑑証明書、相続人全員の住民票、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の戸籍謄本と除籍謄本、被相続人の戸籍の付票、被相続人の住民票の除票、不動産の登記簿謄本、不動産の固定資産評価証明書(市町村役場…大阪府は府税事務所)、遺産分割協議書 
期限…速やかに

(11)預金の払い戻しと名義変更

①預金の払い戻し…死亡の確認後は金融機関は通常の方法による払い戻しには応じません。共同相続人全員の請求を確認した場合に払い戻します。よって相続人全員の意思による請求を証明するために、全員の実印、印鑑証明書、相続人であることを証する戸籍謄本、念書等が必要になります。         

②名義変更…遺産分割協議などで債権を取得したものが請求します。
  必要書類…印鑑、署名捺印者全員の印鑑証明書、相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、預金通帳、キャッシュカードは返却、金融機関の届出書(依頼書・相続届など)、遺産分割協議書
 期限…速やかに

(12)郵便貯金の相続に関する手続…預金の払い戻しを郵便局に

 必要書類…印鑑、相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、預金通帳、キャッシュカードは返却、死亡届書(非課税貯蓄)、受取人証明書類(運転免許証・健康保険証)、相続人全員の同意書または遺産分割協議書 代表者は本人証明証(運転免許証、健康保険証)
期限…速やかに

(13)公共料金の名義変更…口座振替利用の場合は当手続も必要      

①電話
 書類の提出先…電話局(NTT、携帯会社など)
   必要書類…印鑑、住民票(新名義人と同居者全員)、電話加入権承継書相続人の戸籍謄本(有効期間3ヶ月)、被相続人の除籍謄本、
 期限…速やかに    
②電気・ガス・水道…各事業所・営業所に「お客様番号」を領収証などで確認の上問い合わせる。 期限…速やかに        
③NHK…全国共通のフリーダイヤル 0120-151515 に問い合わせる 

(14)自家用自動車の名義変更

①被相続人が所有者の場合
 書類の提出先…陸運事務局
 必要書類…印鑑、相続人全員の印鑑証明書、被相続人の住民票の除票、相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、自動車検査証、遺産分割協議書 
期限…速やかに
 ②被相続人が使用者の場合(所有者はディーラー)
 書類の提出先…陸運事務局
 必要書類…印鑑、所有者の印鑑証明書、自動車検査証、所有者の委任状
 期限…速やかに 

(15)株式の名義変更

 ①遺産分割協議による相続のケース
 書類の提出先…証券会社、株式業務代行の信託銀行等
 必要書類…印鑑、相続人全員の印鑑証明書、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本、株式名義書換請求書、遺産分割協議書
 期限…速やかに
 ②遺贈の場合
 書類の提出先…証券会社、株式業務代行の信託銀行等
 必要書類…遺言執行者の資格証明書と印鑑証明書、被相続人の除籍謄本、株式名義書換請求書、遺言書の写し       
期限…速やかに

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