相続の基本中の基本は、法定相続人と相続分、相続財産調査、実務でよくある代襲相続そして平成28年相続税法改正であろう。亡くなった被相続人の相続人が誰であるか、もし人が亡くなったらその相続人になる予定の推定相続人は法の定めがある。そしていくつかのパターンの相続分の規定がある。また相続人の相続人である代襲相続についての定めもあってこれで大枠が決まるから相続の基本と言えよう。

1.相続とは、

人の死亡に際して、私的所有の財産を誰かに承継させる制度のことを指す。

戦前は家督相続もあったが今は遺産相続のみである。

現行法の下では、配偶者は常に相続人になる。

血縁相続は同順位が均分な順位制になっている。

遺言を優先させるが、法定相続人には遺留分があって遺言は制限されている。

債務も清算せずに、遺産を一括して承継させる包括的な当然承継制度をとっている。

この現行相続制度の下では、

・特定の者に遺産を集中して承継させようとしたとき、

・介護の世話になった者に遺産をより多く承継させようとしたとき、

・残された生存配偶者を世話する者に多く承継させようとしたとき

に問題がよく発生する。

配偶者にとっては夫婦財産の清算であるが、子には不労所得であることが多い。子は謙虚に。

2.相続税のH27年からの大変更

現行相続税法では、相続税は被相続人から財産を相続や遺贈によって承継した個人に課税される。

この基礎控除が平成27年から大きな変更があって、従来は課税価格から5000万円+1000万円×法定相続人数であったものが、3000万円+600万円×法定相続人数となった。4割減だ。

配偶者控除は変更がなく1億6000万円または法定相続分の大きいほうに対応する税額まで控除される。

三大都市圏では対象者が一気に増えた。相続おもいやり相談室の近隣でも増えた。相続税法の構造についてはこのサイトの別稿参照。

3.相続の開始と同時死亡の推定

(1)死亡

失踪宣告(民法30条以下)、戸籍法「第八十九条  水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」参照。

(2)同時死亡の推定

「第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」、よって相互に相続は発生しない。

4.相続人と法定相続分

(1)相続人

「第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。」、

「第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二  被相続人の兄弟姉妹」

「第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」

(2)法定相続分

「第九百条  同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一  子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二  配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三  配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」。

婚外子も平成25年9月4日最高裁大法廷判決で婚内子の半分は違憲とされたので民法が改正され同じとなった。

(3)胎児

「第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」

(4)代襲相続

「第八百八十七条

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。」

「第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、…相続人となる。二  被相続人の兄弟姉妹

2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。」

この規定は、前項第三号の準用はしていないので、兄弟姉妹の代襲は、おいやめいまでになる。

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